革新

ハイテク大国

第05号, 2020

ハイテク大国

レミャ ハリダサンに依る |著者

第05号, 2020


バーバ原子力研究開発機構はインドの国作りにおけるすべての面で比類ない貢献をしてきています。発電システムと国家安全保障から始まり、農業、健康管理、廃棄物管理、水技術、それに食品加工に至るまで、特定原子力研究機関による研究と革新の成果がこの開発機構を世界的に認識される機構に育て上げたのです。

トロンベイ丘陵の膝の部分にあたるあたりに囲まれていて、ムンバイのアラビア海の海岸部分に位置する場所にインドの特定原子力機関であるバーバ原子力研究所(BARC)が建っています。この機関がモットーとする“国民に奉仕する原子”の標語の名に恥じず、その1,100エーカーに及ぶ広大な敷地は8基の研究用原子炉と幾棟かのラボを保有していてこれらのラボは国民の利益のための使用を目的とした原子力を 作り出すための最先端の学際的研究に従事しています。BARCは原子力部門の必要性に対処するのみならず、その原子力部門の働きだす力でインド社会全体の原子力の需要を農業分野、健康管理分野、廃棄物管理、給水方法、食品加工、その他全域で賄うことを目的としています。BARCがその能力をインド国の巨大な機構に作り上げて、インドが科学と技術の全体的な世界的舞台に際立った強さをもって躍り出るという目標を達成できるようにすることをめざしているのです。

あらたなAPSARA-U(整備前);

まずは皮きりとして

この目標達成のための活動は一に一人の著名な科学者の先見の明からきた将来像を基として始められたものです。その科学者の名前はホミ ジェハンギール バーバ博士で、インドの原子力計画の父として知られ、1954年にトロンベイに原子力エネルギー事業団を立ち上げ、原子科学と技術についての学際的研究を開始した人物です。博士の死後、1967年にAEET(Atomoc Energy Establishment, Trombayの頭文字)は改名されてバーバ 原子力研究センターと呼ばれるようになりました。

強力な国家にする

BARCのレガシー(遺産)の真価はこの機関の持つ世界規模の研究用原子炉の存在で、この原子炉は核放射線とその及ぼす影響を研究し理解する窓口を開くものであり、このことはインドに原子力発電を研究しそれを理解する糸口を与えるものになりました。BARCは現況では二つの使用可能な研究用原子炉、即ちAP-SARA-U(改善済)とDHRUVAを保有するに至っています。旧来の6基の研究用原子炉は廃炉化されましたが、そのうちの一つであるAPSARA原子炉は1956年に設置されたアジアでの最初の原子炉でした。この新しいAPSARA-U(APSARA原子炉のアップグレード版)は2018年9月に臨界を達成しました。

この原子炉を研究して得られた知識はインドをして原子力発電に関する自立を可能にし、現在インドには22基の実働中の原子力発電機が稼働していてインドにおける全電力発電のうちの1.8%(6,780MW)を賄うに至っています。2018年12月にはカルナタカのカイガ原子力発電所からの220MWという電力は原子力発電機の最長持続活動機能を記録してそれまでの世界記録を凌駕しました。この記録達成の事実はインドの他国を凌駕する原子炉技術力を生んだ他国に勝る電子工学と機械工学を証拠つけるものです。

カルナタカのカイガ原子力パワーステーション(KAPS)

農業部門

農業部門においてもBARCは47種の 作物品種を新たに作り上げ、従来よりも高い産出率をもつ改善された作物品種を生み出し、作物の病変への抵抗力を改善して高め、商業用目的である量産を可能にしました。なかでも非常に使用度の高い落花生と米など、広く栽培されているものに大きな寄与をしました。他にもこの改善の恩恵に浴した作物にはマスタード、ヤエナリ、牛えんどう豆、ヒヨコ豆、等があります。

健康管理

バーバトロンはBARCが開発した放射線治療装置であり、インドでの癌治療に手ごろな価格の高性能のCo-60遠隔治療装置を使用することにより革命的大改革を齎したのです。バーバトロン装置はインド国内の多くのがん治療病院に備え付けられていて、いまでは中東、アフリカ、南米、それに東欧州にも輸出されています。

食品加工

BARCは放射線処理された食物に関する広範囲な調査を実施しています。この処理によって賞味期間を延ばすことができるので、この処理を受けた食物は輸出用にも国内市場むけにも販売されています。この加工手段は農産物の保全、貯蔵、配送、そして輸出する上でも大きな効果をみせてきました。放射線を当てた食物の安全性はインド食品加工産業省でも世界保健機構でも認められています。

非核ヴェンチュアー企業

BARCは放射線加工を行わない技術においてもその特質を発揮してきました。いくつかの注目に値する達成された事実には水処理、廃棄物管理、並びに物質開発に関連する技術が含まれています。 いくつかの水に関係する技術があり、そのなかには汚染を探索して清浄飲料水を産出する技術もあります。完全に受動的な働き方しかしない国内産出水清浄機;クロムとフッ化物を検出し、フッ化物や鉄分それに砒素を除去する装置と浄水化のための膜状装置はBARCによって開発されている将来性の高いインド固有の技術です。

ニサルグルナプラントと呼ばれる植物を使う手法はBARCによって開発された高い成功率を誇る技術で、生分解性のある廃棄物を堆肥化して高質の肥料とメタンガスに変える手法です。この手法では簡単に湿った廃棄物を直接大病院やホテルや工場、または居住地域の調理場廃棄場所で処理することができます。高度の品質研究において、BARCによって達成された最近の偉業はバーバ カヴァチと呼ばれる武装軍隊用の軽量の防弾ジャケットです。これらジャケットは高い弾道防禦性能を持ったシートで作られているのですが(名つけてBARCナノシートと呼ばれます)ジャケットの重量はたったの6.6kgでかたや従来の防弾ジャケットの重さは17kgもあるのです。 

ニサルグルナ生物ガス工場はインド国中の160に近い場所に作られていて生分解性廃棄物処理の効果的処理施設であり、また、利用価値の高い肥料ガスとメタンガスを副産物として作りだします。;

新型コロナに対抗する努力

新型コロナに対する戦いとしてのBARCによる主要な対抗策として進展を見ている手法には消毒しての再利用、高品質マスクのデザイン、それに低価格のコロナ感染診断キットに用いるPPEキットの消毒のための放射線使用を含みます。 

国際的なステージ

原子力エネルギー省の一部分としてインド国首相の執務下におけるBARCは国際協調のもとで履行されている巨大スケールの科学プロジェクトのいくつかに相当深く関与し貢献しています。これらのプロジェクトのいくつかのなかにはアンティプロトンとイオン研究設備を持つ欧州原子核研究機構とともに行っている反陽子とイオンの研究である大型ハドロン衝突型加速器に関するプロジェクトが含まれています。 BARCは4,500名の科学者を含む14,000名からなる大きな数の研究従事者たちとともにわが国民の安全を確保するべくエネルギー、農産物、健康、水, 食物それに母国の安全の確保のために努力を続けているのです。

レミャ ハリダサンに依る

レムヤ ハリダサンは6年間にわたってムンバイのバーバー原子力研究センターに勤務して いた人材で、最近はニューデリーにあるインド政府へのアドヴァイス役を務める主要科学 アドヴァイザー事務所の代表アドヴァイザーの一人として働いています。
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