主権の委任
900億人の登録有権者によるインド全土の選挙プロセスは、間違いなくヘラクレスの仕事です。現政権の圧倒的な勝利は、新しいインドについての政府のビジョンに対して、有権者が信頼感を示したものと言えるでしょう
2019年5月は、インドの政治史における分岐点の瞬間として記憶されることは間違いありません。インドの総選挙の歴史の中で、1つの政党が完全に過半数を獲得して2期連続で勝利することに成功したのは3度目です。この選挙の結果、ナレンドラ·モディ首相は、インドの独立後に生まれた政治家として、現在のところ、2期連続で首相を務める最初で唯一の首相となりました。選挙運動中、首相は政府のビジョン、成果、およびその政策について語り、正面から率いました。選挙キャンペーンでは、テロに対する積極的な政策スタンス、クリーンで勤勉なイメージ、さらには、カースト、性別、宗教の境界を横断し、若々しく野心的なインドのイメージに共鳴し、力強く、発展している超大国としての物語のビジョンに焦点が当てられました。
しかし、これらは単なる事実です。路上の人々にとっては、それが意味することは、より良いガバナンス、活気ある経済、より良い未来です。

今日、国民の多数が支持する政府に支えられた強力な指導者が先頭に立って、インドは新たな旅に出ようとしています。安定した政府、急速に成長する経済、そしてより若い人口(第17回ロク·サバ(インド国会)を形成する総選挙に参加した18~19歳の有権者数は1500万人でした)で、「新しいインド」は疾走します。
安定と経済
インドの最近の総選挙の結果は安定政権だったのですが、金融政策の専門家は強力な単独与党政権が成立することを祈っていました。これまでも証明されているように、単独政権は、国の政策決定プロセスを迅速化します。行政上の修正事項、インフラストラクチャ·プロジェクト、そして防衛から金融まで、強力なリーダーシップにより、部門間の意思決定プロセスがより簡素化されます。
モディ首相の大幅な勝利は、インドの経済的課題に対する一夜の万能薬ではないかもしれませんが、経済専門家は、今回の選挙結果は減速してきた国の経済にとって、プラスであると述べています。その結果は、すでに現われ始めています。新政府が宣誓されてから1か月以内に、投資案件を抱えていたいくつかの国際企業や投資家たちが、この国への投資プロセスを開始しました。インドルピーは力強さを増していて、これは、安定した政策が推進され、経済活動が活発化され、雇用機会が増えているためだと考えられています。連邦財務大臣のNirmala Sitharaman氏が提示した連邦予算で見られるように、改革の円滑な展開に前向きな環境を念頭に置き、より強力な経済政策が議論されています。

予算では、財政規律を順守する政府の意図が明確化され、ポピュリストのメンタリティを扇動する決定を避けながら、腐敗したシステムを浄化することにより、持続可能で包括的な成長計画の継続が意図されています。
インフラストラクチャー(道路、電気、水道など)などの重要な分野に焦点を当てた予算では、教育、起業家支援、オンライン·インフラストラクチャとテクノロジー、デジタル決済、ビジネスの容易さなどのコア·セクターにも大きな力が入れられています。
女性の力の台頭
新政府はまた、ジェンダー中立社会というモディ首相のビジョンの実現にも力を入れていて、すべての人々の平等な地位に焦点を当てています。716人の女性候補者から、ロク·サバ史上最高の78人の女性議員が選出され、女性のエンパワーメントは、間違いなく、新たに選出された政府の下での政策の中心となるでしょう。首相自身が中央議会での勝利演説でこれを確認し、「この選挙で、女性候補者は、男性候補者を上回ることはなかったかもしれませんが、同様の成果を挙げたと言えるでしょう」と述べました。首相はさらに、女性のパワーについて、raksha kawach(保護装甲)と称えました。PMモディ政権における女性議員リーダーたちの重要なポートフォリオは、Nirmala Sitharaman財務大臣、Smriti Irani繊維および女性と子どもの開発大臣、およびHarsimrat Kaur Badal食品加工大臣が挙げられます。

信念の強化
2014年からのモディ首相の前任期中、彼の政府によって開始されたスキームは、2019年に首相として彼を再任させるのに重要な役割を果たしました。Swachh Bharat MissionやBeti Bachao Beti Padhaoなどの画期的な社会開発プログラムは、人々の思考の行動の変化を促すことを目的としており、インドの各地から大規模な支援を受けてきました。Ayushman Bharat(ヘルスケアスキーム)からPM-AWAS(一般住宅スキーム)yojanaおよびPM-KISAN(小規模農家への経済的支援)yojanaまで、これらのスキームは、社会のあらゆるセクションを対象とし、政府についての統合されたポジティブなイメージを形成してきました。社会のより弱い経済部門のために開発された非常に安価な保険料での保険制度は、政府のモットー「Sabka Vikas(すべてのための成長)」を実現するものでした。

事実、農民に所得保証を約束する政府の重要な計画であるPradhan Mantri Kisan Samman Nidhi は、最近、世界貿易機関でオーストラリアとEUから称賛されました。オーストラリアとEUは、インドはこのようなスキームを、より多くの製品をカバーするために拡大する必要があると述べました。

都市のシナリオでは、モディ首相は、PM Awas Yojana やスマートシティなどのイニシアチブがインドの景観を変化させてきたと、しばしば言及しています。首相は、BJP主導のモディ政権が第1期に策定した政策により、インドの都市開発にパラダイムシフトが生じ、最終的に数百万人の生活が一変したことを確証しています。さらに、記録的な投資、スピード、テクノロジーの使用、一般市民の参加等のイニシアチブが実施されてきました。「私たちは、都市インフラのさらなる改善に取り組んでいます。すべての人に住宅を提供するという夢を実現するために、影響を受けない石が残されないように配慮していますので、何百万人にプラスの影響を及ぼしています」とモディ首相は言及しています。2014年にSwachh Bharat(クリーンインド)とインドの農村部での生計向上を重視する政策が打ち出され、2019年もその傾向は継続しています。予算では、いくつかの新しい福祉スキームが提案され、これには、電子資金調達プラットフォームを通じて運営される、社会的企業やボランティア組織を支援することが期待される社会証券取引所、および「Gaon、Gareeb aur Kisan」(村、貧困緩和および農民)プログラムが含まれています。予算の1つの焦点は、2022年までにすべての世帯にガス接続と電力供給を提供するという目標で、UjjwalaスキームとPradhan Mantri Sahaj Bijli Har Ghar Yojanaは、ともに、この目標到達のためのスキームです。政府は、2022年までに、インドの農村部で19.5万戸の住宅を建設して供給するという目標も設定しています。この目標達成のためにはいくつかのスキームが用意されていますが、例えば、Jal Shakti Abhiyanは、Har Ghar Jal(すべての住宅に水道を供給する)プログラムを伴い、この枠組みの下で、政府は水道が問題となっている256地区の1,592ブロックを既に特定しています。

発展の方向性
モディ首相は最近、一人当たりの収入を増やし、消費を増やし、生産性を高めることで、インド経済の規模を5年間で5兆米ドルに倍増するというビジョンを発表し、これには、懐疑論者は眉をひそめました。しかし、彼が説明したように、決意と勤勉さにより取り組むことにより、それは不可能ではありません。
政府のビジョンは、間違いなく、予見可能な経済の将来において、強い逆風がある時には、それに勇気を持って立ち向かい、克服しなければならないでしょうし、かなりの変更も必要とするかもしれません。政府は、財政上の慎重さを犠牲にすることなく、銀行部門で増加している不良資産への対応、輸出の増加、あらゆる形態の農業危機への対策、インフラ開発への公共投資の増額等の課題について、具体的な措置を講じる予定です。これには、ビジネスの容易さを改善するための税制の合理化と幅広い財源の確保が必要であり、既に可決されたGST(Good and Services tax)法案に基づき、計画が策定されています。

2019年のインド総選挙の規模は、100万か所の投票所、233万の投票ユニット、163万の制御ユニット、174万のVVPAT(投票者が検証可能な紙の監査証跡)、1100万人の投票スタッフと約7億2900万人の有権者数で、世界でこれまでに行われた選挙の中で、最大の選挙です。この選挙により、モディ首相の政権は、新たな任期を得ました。そして、最近発表された財政および福祉政策や、大阪G20会合でのインドの積極的な国際外交姿勢により、政府はすでに、独立75周年に向けて、新しいインドを現実化するための正しい方向に進んでいることを示していると言えるでしょう。