ファッション

ブロックの芸術

第01号, 2020

ブロックの芸術

プリヤラナ |著者

第01号, 2020


インドのデザイナーたちはラジャスターンの村々に伝わる文化遺産の保全を助けるために古代工芸のブロックプリントに革新的なデザインを用いる手法を使ってこの芸術にあらたな命をあたえました。

バグルはジャイプールから30キロに位置する典型的なインドの小さな町でそこでは簡素な家々が立ち並んだ曲がりくねった小道がたくさんあり、それ等の家の扉はいつも開け放されていて隣人同士が家族のように暮らしています。そんなことよりもバグルで人の目を引くのはこの町の家々と道を飾っている鮮やかな色とプリントの布切れでこのような布切れは屋根の天辺や壁に掛けられて天日で乾かされているのです。これがバグルプリントの中核地の風景で、ここは手ブロックプリント風習ではインド一の有名な場所の一つです。ここの工房はチッパ集落の家庭人達で営なまれていて、染料につけられた手彫りの木製ブロックで綿布や時々は絹布に模様を押し染める作業を続けています。これは300年の歴史をもつ古い藝術手腕で先祖伝来の技術です。非常によく似たアートがバグルから30キロ離れた別の小さな町、サンガネールでも行われています。

職人が注意深く複雑なデザインをバグルにあるチッパ地域社会の中央に位置するチッパ モウラ周辺の数多い自宅ベースの工房でサリーの上にプリントしているところ

“激烈な暑さの夏期の月々の間、柔らかい綿布にこれらの自然素材染料で染めた複雑な模様のプリントは デリーのラジャスタ-ンとムガールスの王族に好まれています”とデリーで活躍中のファッションデザイナーのニキ マージャンはコメントしています。彼女はこのアートを専一に働いているのです。しかし彼女はこのアートは手間がかかって時間もかかるのでプリントする職人はもっと大きな布帛に一度にプリントしてコンピューターをつかったデジタルプリントに移行し始めました、と彼女は残念がっています。 こんにち、この伝統は色彩、染料、そして技術を使っての独創的なファッションラインと家庭の装飾用品を創作するデザイナーのお気に入りになっています。

マージャン、この人はインドの主要都市、そしてアメリカでも店舗販売でこのプリントを小売りしていますが、26年もの間ブロックプリントの婦人衣服と紳士衣服を製作してきています。〝この技術を使ってプリントする職人は水が四角い靴箱に半分ほど水をいれて伸ばした皮革の上に何枚か生地を重ねて厚いパッドにしてその上に彼は泥と亜鉛と染料をペースト状にして模様を描くのですよ“とマージャンは言っています。 “泥を使ってプリントします、そしてプリントしたあと、布を引き伸ばしてそれから洗って染料と泥を落とすのです。色は’置き換えられ’ます – 即ちそれが黒い布であればそしてその上に赤と泥と亜鉛でプリントすればその混合染料は布地を通り抜けて赤色だけが残るのです”とは彼女の説明です。マージャンの言によると防泥性能を創り出す彼女のレシピは職務秘密だそうです。”私達は私たちの使用する原料は秘密にしています”と彼女は言います。”それに、温度も色を変えます。夏の40度の暑さの時には冬の6℃の時にプリントされた色とはちがってみえます“と。地元民の話によるとサンガナーは新鮮な水が常時あるのでその水を大量にプリントする時にも洗浄時にも使用していましたとのことです。それにひきかえバグルでは水不足に直面しての仕事となり、そのためプリント職人たちはレジスト染料の技術を選んだわけです。これらすべての自然に起因した要素が彼らの作る衣服のそれぞれに違いを与えることになっているのです。

バグル村でスチーム処理のあと大きなブロックプリントの布地が乾燥のために広げられているところ

同様のプリントをするうえでのプライドはデザイナーブランドのアシャ ガウタムのコレクションにも反映されています。このデザイナーのニューデリーにある店舗は唯一無二と謳うサリーやレヘンガやアナーカリーであふれています。母と息子のコラボレーションであるアーシャ グプタとガウタム グプタの二人組と名付けられたブランドは25人以上のブロックプリンターをラジャスタンから雇い入れて作り上げられたものです。“我々はまた、専属の刺繍家の大きなチームも抱えています。これらの職人たちが我々のコレクションでの最もユニークなデザインを創り出すかたはら、我々のデザインインプットもまた彼らの技術を発達させるのに役立つという二重の効果を生み出しているのです”というのがガウタムの説明です。 “我々が一番最近のコレクションで成し遂げたことは、サンガネリ ブロック プリントを他の芸術と溶け合わせてそれを布地の上で試してみたことですね。例えば、サリーに関していえば我々はブロック プリントをアンドラ プラディッシュから来たブロック プリントと一緒にシルクジョーゼットの生地の上に合わせ置いてみたのです”との説明を彼はしています。

ジャイプールではこれらのブロック プリントした布地の販売のおりには、ファッション雑誌社のア ロイヤル トリビュートまでがこの流行りに乗り、この遺産の保全に役立とうとします。州のシカール地域にあるアジメールとダンタの近くのバリアのかつての王族から出た二人のデザイナーたちが最近ヴァドダラで開催されたロイヤル ファブルス 展示会で彼らのコレクションを展示しました。バリアのジャイキルティ シングはニュー デリー、並びにジャイプール、ムンバイ それにインドレの店舗で小売りしていて過去20年にわたって彼女のジャイプールの社内ユニットで35人の職人を雇ってブロック プリントを施した衣服をファッション化してきています。“私の母国のこのユニークな手技を守りたいと思っています。私は又、若い男の子たちを訓練して彼らの利益を守る事と同時にこの手技をずっと生きのこらせたいと思っています”、とはシングの言葉です。

地方の職人がジャイプールの近くで鮮やかなデザインを注意深くハンドプリントしているところ;

ダンタのリチャ ラジャ ラクシュミは彼女の仕事を伝統と結び付けたいと努力していると言います。“元来、ブロック プリンティングは白地の生地の上に施されていたものですから、私の作品もまた全部白地なのです。私は生地を染めるようなことはしません。- 私はブロックに色を加えるだけです”とラジャ ラクシュミは言っています。 ラジャスタニ ブロック プリントは単なるテキスタイルに加えられる飾りという形のものではなく、後世のために振興され保全される必要のあるものです。ありがたいことに、デザイナーたちが刷新していくにつれて手でプリントした製品の需要は伸びて行き、世界にまたがる消費者達はアーティストの技により敏感になるので、サンガネールとバグルのブロック プリンターたちはいまからもずっと生地のうえにパターンを打ち続けることになるでしょう。

プリヤラナ

ファッション業界で有名な名前であるPriya Ranaは、インドの主要な出版物の出版を手伝ってきた大手ファッション作家です。 RanaはOutlook Splurgeのエグゼクティブエディタを務めています。彼女はまた、インドデラックスライフの編集者として、そしてハーパーのバザールのエグゼクティブ編集者としても働いています。オックスフォード大学出版局で編集長も務めています。
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