ペルソナ

命より大きなもの

第03号, 2020

命より大きなもの

アアルティ・カプル・シン |著者

第03号, 2020


強力に人を惹きつける演技と深みのある人格、一旦出会うと忘れられなくなる魅力 そして自らの心の内を語る事にこだわる性癖の持ち主のリシ カプールはヒンデユー映画を象徴する人たちの内の一人です。アーティ カプル シングはこのような表現でこの人物と彼の築いた輝かしい経歴を回想します。

リシ カプールはかつて自分自身を”著名な父と著名な息子との間に置くカンマの様な存在である”と言い表したことがあります。2才で銀幕に彼の祖父、プリスヴィラジ カプールの演じる舞台で初出演して、赤んぼチンツーちゃん(カプールの愛称)に押し付けられたことは赤んぼベッドで一人眠る事でした。大きくなって幼児期になるとカプールは父のラジ カプール出演の1955年に上演された映画である「規定420条 詐欺師」の中で歌われた歌の中に登場しました。しかしその期に及んでも幼いカプールは映画産業に入る事には興味を示しませんでした。"映画は家族伝統の生業であったし、若き頃の父そっくりの風貌であったにもかかわらず、僕には家業に加わる気はまるでないままに育ったのです”と彼は彼の伝記のクラム クラ、副題:リシ カプールの本音、で記述しています。カプールが16歳の時、彼の父は映画「私はピエロ」での役柄を割り当ててそれから彼は映画製作プロセスに興味を持ち始めることになりました。彼がその映画で(子役の最高演技者)の国民賞を獲得しました。

彼は彼のデビュー作の映画であるボビー(1970)で一夜にして若き映画界の象徴になりました。この映画が出る前に30台中期の年齢の映画の売れっ子俳優たちは濡れ事師的役割を演じる事を好みました。ボビーは10代の恋の物語です。そしてカプールは彼の天性の男の子としての魅力を以ってこの映画の役割にピタリとはまったのです。面白いことには、彼は監督の子息であり、国民栄誉賞保持者である俳優であったにかかわらず、女性の指導者役割を持ったボビーにアンコール喝采を受けたのです。“父にとっては脚本が第一に大事でした。その次に家族というわけです、”とカプールは屡々ぼやいていました。

リシ カプールが妻のニーツ カプールと息子のランビル カプールとともに

リシ カプールは数にして100以上の映画に出演して賞賛を得、“ボリウッド映画界で最長期にわたって活躍した一人であった自分は1970年代や80年代にかけての恋愛映画スターであり、Tシャツ愛用者、いつもハミングしていて、憎めない女たらしで片手にギター、もう一方の手で女を抱いているといった風でした”とカプールは自書に書いています。彼が牛耳った1970年代と80年代のインド映画界は若者たちの恋愛、活気に溢れた音楽とダンス、華やかな衣装、それに生きる事への熱意に満ち溢れた時代でした。その上この俳優がそれらの全て、とその上をいく活気の代表選手だったのです。映画ジャーナリストのディネシュ ラヘジャは彼を“1970年代の世間受けのいい男性の流行り要素満載の男”と批評しました。

二回目の出番

時は変わって、人々の好みも変化しました。そしてカプールは銀幕から消えて行きました;彼の最後の成功映画作品は1989年のチャンドニーで、その時には彼はもう30才台後半になっていました。ところが観衆が彼を過去に葬り去ろうとしていた丁度その時に、彼は自信にあふれた映画プロデューサーのロミー ロリーとして2009年に映画界にカムバックしてきて彼のウィットに溢れた作品構成で「たまたまの幸運」という映画をプロデュースして国中をうならせました。翌年、彼は再びラケイッシュ オムプラカシュ メラのデリー6にアビシェク バックチャン とサナム カプールをひきつれてカムバックしました。観衆はこの新たに生まれ変わったかのようなリシ カプールに飽き足らないほどの関心を示しました:彼は成熟していて力に満ち溢れ、彼の選んだ多様な役割に沿って変化しました。”今私はこの仕事を始めた当初の25年の頃よりもずっとこの映画の仕事を楽しんでいます。私はそれぞれの役割を実践しながら私の中に適材の役者を見つけることにしているのです“と彼は2012年に開かれたインタビューで 語っていました。今回は彼は彼が牛耳ってきた面白くて、魅力的で、論議の対象になるもので、しかもまともな正直さで演じられる役割 - 即ちこれは彼自身の個性をそっくり映し出した表現ですが ― で構成されている空間に権限移譲して自分を求めてくれるフォロワーたちを喜ばせたのです。そしてその人を喜ばせるという信念を自分の死の瞬間まで持っていたと彼の死の床に付き添った医師たちまでもが言ったでしょう。

この男優が彼の自叙伝を2017年のジャプール 文学祭で披露しているところ

カプールは彼の生涯かけての職業でその職業での歯車の回し方を何回も変え続けて色々と試行して新しい素晴らしい結果を得て、本当の俳優というものは年を取るほどにもっと改善していく一方なのだということを身をもって証明したのです。

アアルティ・カプル・シン

Aartiは、さまざまなメディアで20年近くの経験を持つ独立して活躍するライターです。映画研究で博士号を取得した後、彼女は現在、世界を発見するという情熱を実現させています。彼女は食べ物、贅沢、映画、旅行、健康、有名人について書いています。
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