パートナーシップ

東へのご挨拶

第05号, 2019

東へのご挨拶

アニル・ワドワ |著者

第05号, 2019


過去10年間、インドは東方の隣国とのより強固な関係を確立するため、多大な努力をしてきました。最近、東アジアサミットのためにタイを訪れたナレンドラ・モディ首相と、アニル・ワダワ前大使は、訪問の特徴的要因を強調します。

過去数年にわたり、インドは東南アジア諸国連合(ASEAN)のメンバー10ヶ国およびASEAN地域フォーラム(ARF)、東アジアサミット(EAS)、ASEAN国防相会議(ADMMプラス)などの関連フレームワークとの関係において実質的な進展を遂げてきました。インドは、1996年の対話パートナーから2002年の首脳レベルのパートナー、2012年ASEANの戦略的パートナーの地位にまで到達したのです。インドは、30を超える様々な分野で、ASEANを高レベルの対話に関与させてきました。さらにEAS期間中、ナレンドラ・モディ首相は、第16回インドASEANサミット、第14回東アジアサミット、および第3回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)サミットにも出席しました。

戦略的関係

ASEANインドサミット(2019年11月2日から4日)で、モディ首相は、インドとASEAN間の東南アジアの重要性の展望を設定したインド太平洋概況の相互調整を評価しました。首相は、海洋安全保障、ブルーエコノミー、人道支援および災害支援分野でASEANとの関係を強化したい考えを繰り返しました。インドは世界で最も評価の高い技術研究所の一つである、ニューデリーに拠点を置くインド工科大学で学ぶASEANの学生に、1000の博士号奨学金を提供します。

バンコク訪問中、インド人の子供たちと交流するモディ首相

インドは、3兆8000億米ドルの複合GDP(国内総生産)で、ASEANの総勢18億5000万人のより深い経済統合を必要とします。現在、二国間貿易は813.3億米ドルです。ASEANは、2000年4月から2018年3月まで、689.1億米ドルをインドに投資し、インドは2007年から2015年までにASEANに366.7億米ドルを投資しました。

最近のタイ訪問中、バンコクでの「サワディ モディ」イベントの前にインド人コミュニティメンバーと交流するモディ首相

第14回東アジアサミットでもセキュリティとサイバー犯罪に焦点を当てました。東アジアサミットの今後の方向性のレビューと地域および国際問題に関する意見交換がありました。モディ首相は、インド太平洋地域で安全が約束された海域をつくるためにイニシアチブを提案し、またブルーエコノミー(経済成長のための海洋資源の持続的利用)を強化するためのイニシアチブも提案しました。東アジアサミットの参加国は、ASEANの他にインド、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、米国、ロシアが含まれます。

バンコク訪問中、インド人コミュニティで演説するモディ首相

毅然とした姿勢

訪問中、モディ首相は、第3回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)サミットに参加しました。RCEPは、ASEANの10ヶ国のメンバーとオーストラリア、中国、インド、日本、韓国、ニュージーランドの6つのパートナーとのFTA案です。しかしながら、11月4日、16の参加国のうち15の国がテキストベースの交渉を締結するとし、2020年に合意書に署名すると声明を発表しました。重大な問題は未解決のまま7年にもおよぶ交渉の末、インド代表団は、参加は「これら問題の申し分ない解決にかかっている」と、最終声明を出しました。

インドは設立依頼、積極的、建設的、また有意義な取り組みをRCEPにしてきましたが、インドの未解決事案や懸念に十分に対処されなかったとして、RCEP草案の基本精神と同意された指針原則は、完全には織り込まれませんでした。

ナレンドラ・モディ
インドの首相

世界人口の半分を占め、世界の商業の約40%とGDP35%から成るRCEPは、その一部を世界経済3位のインドを含め、世界最大の自由貿易地域になることができました。

首相、インドネシア大統領ジョコ・ウィドドと会談

サイドラインで

首相は、インド、ミャンマー、タイの三極ハイウェイの重要性を改めて強調し、プロジェクトのタイムリーな完了に向けて懸命に取り組んでいると表明しました。

バンコクで開催された「サワディ モディ コミュニティ イベントで、モディ首相はタミル聖典のティルクラルのタイ語訳を披露しました。

二国間パートナーシップ

安倍晋三首相との会談で、モディ首相は来る日印2+2の対話と12月開催予定の両首脳による年次首脳会談に焦点を当てました。

ベトナムの首相グエン・スアン・フックとモディ首相は、過激主義とテロリズム、および国連海洋法条約(UNCLOS)について協議しました。

オーストラリアの首相スコット・モリソンとモディ首相は、トランスペアレントで自由、かつ開かれたインド太平洋地域のコミットメントを再確認しました。

ミャンマーの国家顧問アウン・サン・スー・チーとモディ首相は、両国間のエア・コネクティビティについてと、インドがホストとして計画している2019年11月末にミャンマーのヤンゴンで開催されるCMLV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)のビジネスイベントについて協議しました。

モディ首相は、インドネシア大統領のジョコ・ウィドドと二国間貿易について集中審議し、インド製品の市場アクセス拡大の必要性を強調しました。

タイの首相 プラユット・チャンオチャとの会談で、モディ首相は、物理的またデジタルコネクティビティを含む二国間の接続の強化を強調しました。

11月のEAS期間中、日本の安倍晋三首相とモディ首相

アニル・ワドワ

Anil Wadhwaは、イタリア、ポーランド、オマーン、タイのインド大使を務めました。 Wadhwaは、1979年7月1日から2017年5月31日までのインド外務省のメンバーであり、香港、北京、ジュネーブ、ワルシャワ、マスカット、バンコク、ローマのインドのミッションで奉仕してきました。彼は現在、ニューデリーのVivekananda国際財団のシニアフェロー兼クラスターリーダーです。
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